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全米で話題の的となった『フィリーズ・カレン』騒動に巻き込まれた親子がその一部始終を語る

石山修二 Shuji Ishiyama

Griffin Goodwyn

全米で話題の的となった『フィリーズ・カレン』騒動に巻き込まれた親子がその一部始終を語る image

それは現地時間9月4日(金)のナイトゲームでのことだった。MLBナ・リーグ東地区の首位を走るフィラデルフィア・フィリーズはマイアミ・マーリンズを相手に9-3の勝利を収めた。

しかし、この試合で最も話題になったのはホームチームの勝利ではなかった。注目を集めているのは、ローンデポ・パークのレフトスタンドでファンの間で起こったあるトラブルだ。

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今、インターネット上の特定班はそのトラブルを巻き起こした人物『フィリーズ・カレン』の正体を暴こうと躍起になっている。

一方、その事件でフィリーズ・カレンと対峙したもう1人の主人公、ドリュー・フェルトウェル氏が何が起こったのかを語った。

『フィリーズ・カレン』を巡る騒動とは?

金曜日の試合の4回、フィリーズのハリソン・ベイダーがレフトフェンスを越えるソロホームランを放ち、チームのリードを5-1に拡げた。

スタンドでは多くのファンがそのホームランボールを手に入れようと殺到したが、最終的に赤いフィリーズのシャツを着た男性、フェルトウェル氏がボールを確保し、息子のリンカーンくんに手渡した。

「右に移動して、ボールが落ちる場所まで降りていきました。ボールは空席に落ちて、少しバウンドしてから止まりました。止まったところを私が掴んだんです」とフェルトウェル氏は米ネットワーク局『NBC』のテレビインタビューで語った

「ボールを引き寄せた時に他の手が伸びてきましたが、私はもう振り返って(リンカーンくんの方へ)戻っていました」

その手のひとつが、ネット上で『フィリーズ・カレン』と呼ばれている女性のものだった。彼女はフェルトウェル氏に近づくと、彼がすでにリンカーンくんのグローブの中にあったボールを自分に渡すよう要求した。

「すごく嬉しくてリンカーンをハグしていたんです。そうしたら何かが腕に触れて、彼女が『それは私のボールよ』って叫びました。私からしてみれば『えっ? なんでここにいる? 誰?』って感じでした」とフェルトウェル氏は語った。

(フィリーズのファンが息子のためにホームランボールを取った。するとこの女は自分がボールを取れなかったと激怒している)

フェルトウェル氏はリンカーンくんのグラブからボールを取り、彼女に渡すことで事態を収めた。インタビューでフェルトウェル氏はその瞬間の心境を次のように語った。

「一方に進めばきっと後悔したでしょう。でもこうしたことで、子供たちの前で事態を鎮める教訓となる行動を取れました。子供たちには『見てごらん、この女性は自分たちよりこのボールを必要としてるんだ』とも話しました。リンカーンは抵抗しませんでした。私はボールを取って彼女に渡しました」とフェルトウェル氏は語った。

「彼女は振り返って立ち去っていきました。その事実こそが、その瞬間における私の勝利を物語っていました。彼女には私の家族に近づいてほしくなかったですからね」

リンカーンくんもこの出来事を振り返った。

「彼女がボールを持って行ったのは嬉しくなかったけど、でも結果的には良かったよ」

その言葉通り、この不幸な出来事は結果的にリンカーンくんとその家族にとって大きな幸運をもたらすことになった。

マーリンズはこの事件のことをすぐに知ると、スタッフの一人が2人の元に向かい、慰めの意を込めてギフトバッグを渡した。その夜はリンカーンくんの誕生日だったため、素晴らしい誕生日プレゼントとなった。

(女性が少年からボールを奪っていった後、マーリンズがこの若いファンにギフトを渡すと、周囲の観客は歓声を上げた。少年は誕生日を祝うために試合に来ていた)

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フィリーズが試合後に用意したさらなるプレゼント

フィリーズもまたこの夜を2人にとって忘れられないものにした。試合終了後、リンカーンくんがベイダーと会う機会を設けたのだった。

(ベイダーのサイン入りバットをプレゼント)

フェルトウェル氏のとっさの判断で、リンカーンくんにとって最悪の試合観戦になりかねなかった一夜は一生の思い出となった。

「ベイダーに会えて本当に本当に嬉しい。一緒に写真も撮れたんだ」とリンカーンくんは語った。

「誰かに会えてこんなに嬉しかったのは初めてだよ」

原文:Father breaks silence after ‘Phillies Karen’ takes Harrison Bader home-run ball from son
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版編集部)

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石山修二 Shuji Ishiyama

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。生まれも育ちも東京。幼い頃、王貞治に魅せられたのがスポーツに興味を持ったきっかけ。大学在学時に交換留学でアメリカ生活を経験し、すっかりフットボールファンに。大学卒業後、アメリカンフットボール専門誌で企画立案・取材・執筆・撮影・編集・広告営業まで多方面に携わり、最終的には副編集長を務めた。98年長野五輪でボランティア参加。以降は、PR会社勤務・フリーランスとして外資系企業を中心に企業や団体のPR活動をサポートする一方で、現職を含めたライティングも継続中。学生時代の運動経験は弓道。現在は趣味のランニングで1シーズンに数度フルマラソンに出場し、サブ4達成。

Griffin Goodwyn

Griffin Goodwyn is a freelance writer with The Sporting News. He is a graduate of the University of South Carolina’s School of Journalism and Mass Communications. Griffin has covered the MLB and more at Athlon Sports and On3.