ダラス・マーベリックスのクレイ・トンプソンとカイリー・アービングは、かつてはライバルであり、現在はチームメイトとしてプレイしている。トンプソンがゴールデンステイト・ウォリアーズ、アービングがクリーブランド・キャバリアーズに所属していた2015年から3年連続でNBAファイナルで対決し、2024-2025シーズンにはマーベリックスで同僚になった。
2人の関係はどのようなものであるのか? 8月31日、ロサンゼルス・レイカーズで5度NBA王座を獲得したレジェンドであるマイケル・クーパーがホストを務めるポッドキャストが公開され、出演したトンプソンが胸中を明かした。
トンプソンが語るアービングとの関係
トンプソンにとって、かつてのライバルであり現在は同僚のアービングはどのような存在なのか?
クーパーから「カイリーはアレン・アイバーソンを除けば、歴代最高の1on1プレイヤーかもしれないけど、彼とプレイするのはどんな感じ?」と尋ねられたトンプソンは「(1on1の話に対して)そうですね。彼とプレイするのは、とてもいい感じです」と答えた。
「カイリーと僕はたくさんマッチアップしてきました。特にウォリアーズとキャブズは4年続けてファイナルで戦いましたが、最初の3年はカイリーがいました」
また、守備の名手であったクーパーがレジェンドたちを守ってきたことを引き合いに出し、自身の経験と重ねた。
「あなた(クーパー)は毎晩のように相手のベストプレイヤーを守っていましたが、何をしても守れない試合もあったと思います。それこそ、マイケル・ジョーダン、ラリー・バード、アイザイア・トーマスが相手の時には」
「僕にとってはカイリーがそれだったんです」
また、2016年NBAファイナル第5戦でのアービングのプレイが印象に残っていると語った。
「(2016年の第5戦で)42得点を取ったり、カイリーのファイナルでのパフォーマンスを忘れることなんてできません。僕にできることは全部やったんです。それでも彼は止まらなかった。バンクショット、スクープショット、フローター、終いにはプルアップ3を決められてしまいました」
トンプソンは、そんなアービングのことを心からリスペクトしていると明かした。
「そんなカイリーとチームメイトなのは本当に素晴らしいことです。僕らはもう大ベテランで、キャリアに新たなレガシーを刻むために集まったんです。2011年ドラフトの同期でもあります。本当にカイリーを尊敬しています」
「カイリーは守るのが最も難しい選手の1人。レブロン(ジェームズ)、(ケビン)デュラント、コービー(ブライアント)と並ぶ存在ですね。今のカイリーには弱点がないんです」
※動画の8:36~10:00までの概要
10月に開幕する2025-2026シーズンで2人はどのようなプレイを見せるのか。かつてのライバルがともに頂を目指す姿に注目していこう。
トンプソンとアービングのファイナルでの成績

2014-2015シーズン当時、アービングはキャブズ、トンプソンはウォリアーズに所属していた。両者はその年から2016-2017シーズンまで3年連続でNBAファイナルに進出。リーグ屈指のスコアラーだったアービングとNBA随一のディフェンダーだったトンプソンは、ファイナルという最高の舞台でマッチアップし、凌ぎを削った。
NBAファイナル2015(ウォリアーズが4勝2敗で優勝)
両者の初顔合わせとなった2015年、アービングはファイナル第1戦で左膝を骨折し、その後の試合を欠場した。最終的にはウォリアーズが優勝を果たした。
選手 | G | PTS | REB | AST | STL | FG% | 3P% |
---|---|---|---|---|---|---|---|
クレイ・トンプソン | 6 | 15.8 | 4.3 | 1.7 | 0.5 | 40.9 | 30.0 |
カイリー・アービング | 1 | 23.0 | 7.0 | 6.0 | 4.0 | 45.5 | 25.0 |
NBAファイナル2016(キャブスが4勝3敗で優勝)
キャブズは、NBA史上初の1勝3敗からの逆転優勝を成し遂げ、前年のリベンジを果たした。第5戦では、レブロン・ジェームズとアービングが揃って42得点をあげるという、圧巻のパフォーマンスを見せた。第7戦で、アービングは決勝点となる3Pも沈めている。
選手 | G | PTS | REB | AST | STL | FG% | 3P% |
---|---|---|---|---|---|---|---|
クレイ・トンプソン | 7 | 19.6 | 3.0 | 1.9 | 1.0 | 42.7 | 35.0 |
カイリー・アービング | 7 | 27.1 | 3.9 | 3.9 | 2.1 | 46.8 | 40.5 |
NBAファイナル2017(ウォリアーズが4勝1敗で優勝)
オフにケビン・デュラントを加えたウォリアーズは圧倒的なタレント力でキャブズを圧倒し、5試合で優勝を果たした。
選手 | G | PTS | REB | AST | STL | FG% | 3P% |
---|---|---|---|---|---|---|---|
クレイ・トンプソン | 5 | 16.4 | 4.8 | 2.2 | 0.4 | 42.9 | 42.5 |
カイリー・アービング | 5 | 29.4 | 4.0 | 4.4 | 1.0 | 47.2 | 41.9 |
トンプソンとアービングの2024-2025シーズンの成績

アービングは2022-23シーズンの途中に、ブルックリン・ネッツからマブスに移籍した。ルカ・ドンチッチの相棒として活躍し、2023-24シーズンには、マブスはNBAファイナルに進出した。一方のトンプソンは、2024-25シーズンに、長年在籍したゴールデンステイト・ウォリアーズを離れ、勝利を求めてマブスへ移籍した。
チームメイトとして迎えた1年目、シーズン途中にドンチッチがトレードされるなどチームは混乱した。アービングはチームのエースとして活躍するも、3月に左膝の前十字靭帯を断裂し離脱した。トンプソンはシーズンを通して健康を保ったが、チーム成績は振るわず、プレイイントーナメントで敗退した。マブスは39勝43敗のウェスト10位でシーズンを終えた。
選手 | G | PTS | REB | AST | STL | FG% | 3P% |
---|---|---|---|---|---|---|---|
クレイ・トンプソン | 72 | 14.0 | 3.4 | 2.0 | 0.7 | 41.2 | 39.1 |
カイリー・アービング | 50 | 24.7 | 4.8 | 4.6 | 1.3 | 47.3 | 40.1 |
マーベリックスの2025-2026シーズン展望
マーベリックスの2025-2026シーズンは、ドラフト全体1位指名の大型ルーキー、クーパー・フラッグ(デューク大出身)という新戦力に加え、アンソニー・デイビスも怪我からの復帰が見込まれる。彼らとトンプソン&アービングのベテランコンビが融合する新生マブスがどのような化学反応を見せるのか、新シーズンの戦いから目が離せない。
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