ドウェイン・ジョンソンといえば、フットボール選手というより俳優として有名だ。実際、彼の存在はフットボール選手というより、俳優、レスラー、実業家、慈善家として知られている。
しかし『ザ・ロック』には、レスラーとして世界的なスーパースターになるずっと前から、フットボール選手としてのキャリアがあった。2020年に彼がXFLを買収した一因もそのためかもしれない。その後、XFLとUSFL(United States Football League)は2023年末に合併してUFL(United Football League)となり、ジョンソンは現在もUFLの共同オーナーを務めている。
ここでは、マイアミ大学からCFL(CanadianFootball League)に至るまでのジョンソンのフットボールキャリアを振り返るとともに、彼がそのキャリアを演じているようなドラマ『ボーラーズ』を紹介する。
『ザ・ロック』は良いフットボール選手だった?
高校時代のジョンソンは、ペンシルベニア州のフリーダム高校でディフェンシブタックルとして2年間しかプレーしていない。それでも有名大学のフットボールプログラムはジョンソンに注目した。最終的にジョンソンはマイアミ大学のフルスカラシップを受け、1991年に大学でのフットボールキャリアをスタートした。
マイアミ時代、ジョンソンは主に控え選手として4シーズンで77タックルと4サックを記録した。ディフェンシブラインコーチのエド・オルジェロン氏にスカウトされたが、当時のマイアミ大には後にプロフットボール殿堂入りするウォーレン・サップ(元バッカニアーズほか)がいた。ジョンソンはそのサップの控えとしてビッグネームたちと一緒にプレイし、1年目には全米王者にも輝いている。
オルジェロン氏は2012年に米ケーブル局『ESPN』の取材で、もしサップが先発でなければジョンソンは「カンファレンス選抜、おそらく全米選抜にも選ばれていたかもしれない」と語った。
トランスファー・ポータルのある今の時代なら、ジョンソンは他校で容易にプレイタイムを得ることができたかもしれない。
CFL時代のジョンソンは?
レスラーとしてのキャリアを始める前、ジョンソンはプロフットボール選手を目指し、CFLのカルガリー・スタンピーダーズと契約した。
しかしその期間は長くは続かなかった。マイアミ大時代同様、強豪チームの控え選手として埋もれるという彼の経歴は続き、1995年シーズン開始からわずか2ヶ月でジョンソンは解雇された。ちなみにその年、カルガリーは15勝3敗の成績を収めた。
ジョンソンはNFLでもプレイした?
オルジェロン氏はジョンソンに大きな期待を寄せていたが、CFLで活躍できない選手にNFLへの道は開けない。
マイアミ大学時代には複数の負傷と出場機会不足にも悩まされていたジョンソンが、1995年のNFLドラフトで指名されることはなかった。また、スタンピーダーズとの契約終了後にプロ契約を得ることはなかった。
今、ジョンソンは大学フットボールで活躍したスター選手やNFLの控え選手たちに再起の機会を与えるリーグを運営している。
XFLを恒久的な春のフットボールリーグに育て上げるのが目標だが、これはジョンソンにとって個人的な意味を持つと言える。それぞれのキャリアで公平な機会を得られなかったかもしれない選手たちにチャンスを与えることになるからだ。
ジョンソン主演のドラマ『ボーラーズ』をチェック
そんなジョンソンが、自らのキャリアそのままに元プロフットボール選手を熱演しているドラマが『ボーラーズ』だ。
アメリカで2015年から2019年にかけてオンエアされたこのドラマで、ジョンソンはプロスポーツ選手のマネージメントを手掛ける財務マネージャーとして活躍する元NFL選手、スペンサー・ストラスモア役を演じた。『ボーラーズ』は5度のエミー賞ノミネーションを受け、第5シーズンまで制作された人気シリーズとなった。
ドラマの中では、プロフットボール選手たちが抱える様々な苦悩や私生活の様子を描き出すだけでなく、制作当時注目されていたレイダースの本拠地移転問題やカレッジの学生選手に対する報酬、エクストリームスポーツやeスポーツの台頭など、スポーツ界を取り巻く様々な話題をタイムリーに取り上げていたことでも注目された。
強引なところもありつつも、選手たちのためにと尽力するストラスモアの姿には、今もXFLに取り組むジョンソンの姿とクロスオーバーする部分もあり、今見ても興味深いドラマと言える。
現在、『ボーラーズ』はU-NEXTでシーズン5まで全話配信されており、31日間の無料トライアルを利用して視聴することも可能だ。
原文:Was The Rock good at football? Revisiting Dwayne Johnson's NFL, CFL and college playing career
翻訳・編集:石山修二(スポーティングニュース日本版)
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