■正守護神が配置転換に
昨季パ・リーグを制したソフトバンクが、今季は6月12日終了時点でリーグ4位(29勝27敗3分、勝率.518)と苦しんでいる。チームとリンクするように、ここまで不振が続いているのが守護神のロベルト・オスナだ。
来日4年目・30歳のオスナは、昨季までに日米通算215セーブをマークするなど、クローザーとして豊富な実績を持っている投手。しかし、今季はここまで23試合に登板するも、3勝1敗5ホールド8セーブ、防御率3.91と不安定な投球が続いている。6日のヤクルト戦では9回に同点2ランを浴び今季4度目のセーブ失敗を喫し、これが原因でクローザーの座から一時外れることになった。
配置転換を決断した小久保裕紀監督にとっては頭が痛いところだろうが、他の投手にとってはオスナからポジションを奪うチャンスが到来したともいえる。レギュラーシーズンはまだ約80試合を残す中、新クローザーに名乗りを上げそうなのは一体どの選手だろうか。
■有力候補は勝ちパターンの2名か
候補としてまずパッと思いつくのは、プロ7年目・27歳の杉山一樹。最速160キロを誇る速球が持ち味の投手だが、プロ入りからしばらくは制球難に悩まされ不安定な投球が続いていた。ただ、昨季50登板、4勝0敗14ホールド1セーブ、防御率1.61とブレーク。今季もここまでは28登板、1勝2敗10ホールド2セーブ、防御率1.30と好投を見せている。
10日の巨人戦では、3点リードの9回に登板。打者3名をわずか6球で退け、クローザーとしての役割を見事に果たしている。同戦のような投球が今後も続けば、新クローザーとして立場を確立することは濃厚といえるだろう。
一軍の現リリーフ陣では、杉山に加えプロ11年目・29歳の松本裕樹も有力候補だ。ここ数年は勝ちパターンの一角として定着している上、昨季はオスナの故障離脱を機にクローザーへ回り14セーブを挙げた実績がある。昨季終盤に右肩を痛め戦線離脱するアクシデントがあったが、今季は19登板、1勝1敗16ホールド、防御率0.98と影響を感じさせない数字を残しており、新クローザーの資格は十分に有しているといえる。
小久保監督は代役クローザーについては流動的に起用していく意向だという。そのため、杉山、松本のどちらかを据えるのではなく、ダブルクローザーとしてその日の調子に合わせて柔軟に起用していく可能性も考えられそうだ。
■二軍には大抜擢の予感漂うルーキーが
万が一、一軍リリーフ陣の中で適任者が見つからなかった場合は、二軍から見込みのありそうな投手を抜擢して起用するという展開もあり得る。もしそうなった場合、面白い存在となりそうなのが育成6位ルーキー・25歳の川口冬弥だ。
川口は四国IL・徳島でプレーしていた昨季、先発・クローザーとして29登板、3勝7セーブ、防御率1.37といった数字をマーク。活躍の場がプロ野球に移った今季も、二軍で16登板、3セーブ、防御率0.98とここまで好投を続けている。支配下登録へ向け着実に前進を続けているが、場合によっては支配下即一軍昇格、瞬く間に新クローザー就任というサクセスストーリーもゼロではないだろう。一軍首脳陣もここまでの活躍は当然把握しているはずだが、オールドルーキーの今後の歩みにも要注目だ。
ここまでに名が挙がった投手が新クローザーに就くのか、配置転換されたオスナが復調しその座を奪い返すのか、それとも予想外の投手が頭角を現すのか。いずれにせよ、早い段階で新クローザーにメドをつけられるかが今後の戦いを左右することになりそうだ。