世界最高のサッカー選手を決めるバロンドール授賞式がいよいよ開催される。世界中のファンや関係者が注目する一大イベントで、日本時間9月23日午前3:00に行われる予定だ。
フランスのサッカー専門誌『フランス・フットボール』が毎年選出するこの賞は、サッカー界で最も権威ある個人タイトルとして広く認知されている。シーズンを通じて最も輝いた選手に、栄光のトロフィーが授けられるのだ。
しかしながら、長い歴史と栄光を誇る一方で投票方法や仕組みについて詳しく理解している人は多くない。実際にはシンプルかつ透明性の高い仕組みであるにもかかわらず、近年のルール変更や選考基準の調整なども影響し、その実態は受賞の話題ほど世間に知られていないのが現状だ。
本記事では、投票者が候補者を選ぶ際に重視するポイント、そして投票プロセスの全体像について詳しく解説していく。
バロンドールの選考基準
フランス・フットボール誌は、投票者が候補者を選ぶ際に考慮すべき3つの主要な基準を定めている。
- 個人としてのパフォーマンス、決定的な貢献度、人間性
- チームとしての成績や集団的成功
- ピッチ内外でのフェアプレー精神や選手としての品格
つまり、単なるゴール数やアシスト数といった数字だけではなく、チームへの貢献度や選手としての振る舞いも重要視されるのだ。
一方で、考慮すべきではないとされているのが、過去の実績や知名度である。すでに受賞歴がある選手であっても、キャリア全体ではなく、そのシーズンのパフォーマンスのみが審査基準となるのだ。
本来、バロンドールはそのシーズンで最も優れた選手を顕彰する賞にすぎない。もっとも、その対象期間は近年見直しが行われている。従来は前年のカレンダーイヤーが基準だったが、現在はヨーロッパのシーズンに合わせた形に変更され、8月のシーズン開幕から翌年夏の国際大会終了までが対象となっている。
したがって2025年のバロンドールでは、2024年8月のリーグ戦開幕から2025年夏のFIFAクラブワールドカップ終了までが評価期間とされる。
バロンドールの受賞条件
1965年の創設当初、バロンドールを受賞できるのはヨーロッパ出身でヨーロッパのクラブに所属している選手に限られていた。
しかし、その制限は時代とともに緩和され、現在のより包括的な形へと進化している。
- 1995年:ヨーロッパのクラブに所属していれば国籍を問わず受賞対象に
- 2007年:世界中のプロサッカー選手すべてが受賞対象に
とはいえ実際には、依然としてヨーロッパのクラブに所属する選手が受賞の中心となっている。ヨーロッパのクラブは最も注目度が高く、また競技レベルも世界最高峰とされるため、その舞台で活躍する選手が自然と評価の対象となりやすいのだ。
投票者とポイント制度の仕組み
まず、フランスのサッカー専門誌『フランス・フットボール』の記者が、同じくフランスの新聞社『レキップ』の記者と協力し、バロンドールの候補となる30名のリストを作成する。この過程には、元選手や過去の受賞者といった特別な人物が関わることもある。
その後、30名の候補者が発表されると、いよいよ投票が行われる。バロンドールの選考は、長年にわたり世界各国のジャーナリストによって担われてきた。
かつてはFIFAに加盟する約180か国すべてから1人ずつ記者が投票していたが、近年はFIFAランキング上位100ヵ国から各1人に限定されている。
各ジャーナリストは30名の候補者を順位付けし、トップ10を選出する。得点は以下の通りで割り当てられる。
- 1位:15ポイント
- 2位:12ポイント
- 3位:10ポイント
- 以下:8、7、5、4、3、2、1ポイント
全100票の合計ポイントで最終的な順位が決まり、最も得点を集めた選手が受賞者となる。もし同点が生じた場合は、まず「1位票の多さ」で決着をつけ、それでも決まらない場合は「2位票の数」、さらにその次へと順に比較していく仕組みだ。
また、投票結果は授賞式後にすべて公開されるため、透明性も確保されている。
原文:How is the Ballon d'Or decided? Explaining criteria behind picking winner of world's best football player award
翻訳・編集:小山亮(スポーティングニュース日本版)
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