バルセロナのファンにとって、この2年間は長い時間だった。愛する本拠地"カンプ・ノウ"を離れ、別のスタジアムで試合を観戦せざるを得なかったからだ。
1957年に開場したカンプ・ノウは、長らく世界屈指の名門スタジアムとしてその名を馳せてきた。しかし老朽化が進行したことで、クラブは巨額の資金を投じて全面改修に着手。新スタジアムは世界最高水準の設備を備え、将来的な収益拡大をも見据えたプロジェクトと位置づけられている。
その間、チームは2023-2024シーズンと2024-2025シーズンのホーム戦を、隣接するエスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニスで開催してきた。とはいえ同スタジアムは多目的施設であり、世界最高峰のサッカー専用スタジアムと比べると利便性や臨場感に欠ける部分もある。だからこそ、ファンもクラブもカンプ・ノウ復帰の瞬間を心待ちにしていたのだ。
ところが、2025-2026シーズンが開幕した現在も、その復帰計画には不透明感が漂っている。
カンプ・ノウの再オープンは依然不透明
当初、バルセロナは2025年8月10日にセスク・ファブレガス監督率いるイタリアのコモを迎えたジョアン・ガンペール杯(親善試合)でカンプ・ノウの再オープンを果たす予定だった。しかし、クラブは7月18日に声明を発表し、市当局から再開許可に必要な条件を満たせなかったと説明した。
「大規模な工事によって段階的にスタジアムを再開する意向はあったものの、ライセンス取得に必要なすべての条件を満たすことができなかった」と声明には記されている。
こうした事情から、コモとの親善試合やホーム開幕戦であるバレンシア戦はクラブ練習場併設のエスタディ・ヨハン・クライフで開催されることになった。このスタジアムの収容人数はわずか6,000人で、本拠地と比べると収益や観戦雰囲気に大きな差が出ることは避けられない。
さらに9月21日のヘタフェ戦も同会場に移され、9月28日のレアル・ソシエダ戦、10月1日のチャンピオンズリーグ・PSG戦については、昨季使用したエスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニスで行われることが決まっている。
クラブは「スポティファイ・カンプ・ノウの早期再開に向けて必要な行政手続きを全力で進めている」と強調するものの、現時点では具体的な復帰時期は依然として不透明だ。
欧州屈指の最先端スタジアムへ
当初、カンプ・ノウの改修計画は6億ユーロを投じ、2021年までに完了する予定だった。しかし、クラブの深刻な財政難と新型コロナウイルスの影響により、この計画は一度白紙となった。
その後、ジョアン・ラポルタ会長のもとでプロジェクトは復活。大手金融機関ゴールドマン・サックスからの15億ユーロ規模の融資を背景に再始動した。
2022年夏から工事が本格化し、チームは一時的に本拠地を離れることになった。予想を上回る困難とコストの増大に直面しながらも、スタジアムの近代化は着実に進行し、完成に近づいている。
なお、カンプ・ノウは復帰後しばらくの間、部分利用に限定され最大収容人数は62,000人にとどまる見込みである。全スタンドが本格稼働するのは早くても2026年7月とされており、残りのスタンドは工事の進捗に応じて段階的に開放されていく予定だ。
生まれ変わった新カンプ・ノウの魅力
- 屋根の全面設置とソーラーパネルの導入
- 上層スタンド拡張により収容人数を105,000人に拡大
- 屋根から吊り下げられた360度LEDスクリーン
- 最新スポーツサイエンス設備を備えた拡張ロッカールーム
- 雨水再利用による灌漑システムを備えたハイブリッド芝ピッチ
- 外装に広範囲のLEDスクリーンを設置
- 3階席(最上層)の再設計による観戦環境の改善
- プレミアムシートを3,000席から25,000席に大幅増加
- Wi-Fi環境の整備など技術面のアップグレード
- 音響設計の改善による試合日の臨場感強化
- カメラ位置や照明の改良による放送品質の向上
原文:When will Barcelona return to new Camp Nou? Stadium renovations delay explained as PSG game moved to Montjuic
翻訳・編集:小山亮(スポーティングニュース日本版)
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