YouTubeの影響は絶大!? 大相撲夏場所で評価された「敢闘精神あふれる力士」は

柴田雅人 Masato Shibata

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時事

■ファンの“民意”が一目で分かる

昨年の大相撲は1996年以来28年ぶりに全6場所・90日間でチケット完売、いわゆる「札止め」になったことが話題となった。今年もその流れは続いており、7月に開催予定の名古屋場所も既に札止めとなるなど本場所人気はますます高まっている。

その本場所において、日本相撲協会は幕内・十両力士の敢闘精神を評価するアンケートを会場、公式アプリを通して実施し、「敢闘精神あふれる力士」として毎日1位~3位までを発表している。その日ファンから支持を得た力士が誰なのかが可視化されるという、大相撲観戦をより楽しくさせてくれる要素の1つだ。

評価基準は個々人によって異なるため、番付や勝敗がシンプルに反映されるわけではないところも面白いポイントだが、直近で行われた大相撲夏場所では一体どの力士が最も高い評価を受けたのだろうか。

■幕内は綱取りかけた大の里が圧倒

まずは幕内のアンケート結果からだが、全15日間で最も多く1位に選ばれた回数が多かったのは大関・大の里。綱取りをかけ臨んだ夏場所では初日から破竹の14連勝をマークし、13日目には横綱昇進を手繰り寄せる優勝を早々に決めるなど圧倒的な活躍を見せた。アンケートでも2日目、4日目、千秋楽以外の13日間で3位以内にランクインし、内6日間で1位に輝くという他の追随を許さないほどの支持を得ている。

大の里には及ばなかったが、1位3回と健闘を見せたのは平幕・王鵬だ。通算では7勝8敗と惜しくも負け越したが、初日から大関・琴櫻、関脇・霧島、横綱・豊昇龍と上位力士を立て続けに撃破。さらなる覚醒を予感させるような下剋上ぶりはファンの心をしっかりと掴んだようだ。

平幕・宇良は7日目、11日目にそれぞれ1位に選出されたが、よりインパクトがあったのは11日目か。宇良はこの日小結・高安と戦ったが、今年1月場所での対戦に続き伝え反りで勝利。この技は宇良が2022年9月場所で決めるまで幕内では20年出なかった大技だが、それを短期間で同じ相手に2度決めるという離れ業に多くのファンが沸いたことは想像に難くない。

■十両には二子山部屋ブームが到来?

続いて十両の結果だが、13勝2敗で2場所連続十両優勝を果たした草野が1位選出5回でトップとなった。初日黒星スタートも2日目から9連勝、11日目に2敗目を喫したが翌日から再び4連勝でフィニッシュと素晴らしい安定感が光った。名古屋場所では新入幕が確実視されているが、幕内でもファンを惹きつけるような相撲を続けていけるかは要注目だ。

その草野に並び、1位に5回選ばれたのが新十両・三田だ。左手骨折により13日目から休場した影響もあり、8勝5敗2休とギリギリの勝ち越しとなった。だが、白星を挙げた8日間の内5日間で1位、残り3日間も2位に選ばれるなど熱い支持を得る結果となっている。

三田と同じ二子山部屋に所属する生田目も、千秋楽で勝ち越しを決める薄氷の15日間を過ごしながら、1位に3回選ばれ全体3位となった。二子山部屋は現在運営しているYouTubeチャンネルが登録者49.7万人(2025年6月27日現在)とかなりの人気を博しているが、YouTubeを通じて相撲ファンになった、部屋所属力士の魅力を知った人たちが多くの票を投じているようだ。角界では他にも複数の部屋がYouTubeチャンネルを開設・運営しているが、人気度が頭一つ抜けている二子山勢の時代が今後もしばらくは続くかもしれない。

夏場所の「敢闘精神あふれる力士」アンケートは、幕内では綱取り、十両ではYouTubeが票に大きく影響するような結果となった。来たる名古屋場所ではどの力士がファンの支持を集めることになるのだろうか。

柴田雅人 Masato Shibata

スポーティングニュース日本版スポーツコンテンツライター。福岡県出身。幼少期から相撲、野球、サッカーを中心に幅広くスポーツを観戦。大学卒業後からライター活動を開始し、主にスポーツ記事の企画立案、取材、執筆などに携わる。現在もスポーツ観戦が一番の趣味で、複数競技を同時に視聴することもしばしば。