全員勝ち越しも射程圏内!? 大相撲名古屋場所を盛り上げる元大関陣の逆襲

柴田雅人 Masato Shibata

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時事

■進退危機から優勝争いへ

大相撲名古屋場所は18日、6日目の取組が行われた。序の口から幕内まで連日熱戦が続いているが、中盤戦に入った段階で幕内の優勝争いトップに立っているのが元大関の平幕・御嶽海だ。

今場所の御嶽海は13日の初日で平幕・嘉陽を破り白星を挙げると、そこから17日の5日目まで破竹の5連勝を記録した。6日目はこちらも元大関の平幕・正代との対戦だったが、立ち合い右を固めつつ勢いよくぶつかると、相手を抱えながら前に出てそのまま寄り切り。自身3度目の優勝を果たした2022年初場所以来となる6連勝となり、横綱・大の里らに1差をつけて優勝争いの単独トップに立っている。

御嶽海は今年春場所で負け越し、2015年秋場所以来約10年ぶりに十両へ転落。一時は進退も注目されたが、夏場所で勝ち越し1場所での幕内復帰を果たすと、今場所は大関時代のような力強さを取り戻しつつある。どん底に落ちた男の復活劇は、今年の名古屋場所から新たに会場となったIGアリーナを連日沸かせている。

■優勝争いに絡む元大関は他にも

ここまでの6日間で動きの良さが目立っている元大関は御嶽海だけではない。今場所は幕内に4名、幕下1名元大関経験者がいるが、この内御嶽海を含む3名が大きく白星を先行させている。

西関脇の霧島は、初日から4日目まで4連勝と好スタートを切った。5日目は今場所1横綱1大関を破っている平幕・安青錦に敗れたものの、6日目は金峰山を下し連敗はしなかった。今場所は大関とりの足固めに成功できるかが注目されており、できれば先場所でマークした11勝程度の白星が欲しい状況だが、ここまでの相撲を見る限りでは視界良好といえるだろう。

西小結の高安は、東小結で臨んだ夏場所で6勝9敗と負け越しながら、他力士の成績も相まって小結残留となったことが場所前に話題となった。番付運の良さも追い風になったのか、今場所は初日こそ横綱・豊昇龍に敗れたものの、2日目からは5連勝をマーク。6日目の安青錦戦では相手の内無双に落ちかけるなど苦戦していた状況から、一瞬の隙をついて相手の肩越しに右上手を掴むと、そのまま右上手投げで相手を土俵に転がすという豪快な相撲で場内を沸かせている。

御嶽海は過去に3回、霧島は2回優勝経験があり、高安も優勝こそ未経験だが優勝同点は3回記録している。地力の高さはまだまだ健在といえそうだが、7日目以降も優勝争いを盛り上げるような活躍が見られることを期待したいところだ。

■残り2名次第では全員勝ち越しの可能性も

残る2名である正代、幕下・朝乃山も、正代がここまで3勝3敗、朝乃山が2勝1敗と五分以上の勝敗となっている。今場所は残り9日間とまだ先は長いものの、元大関5名が全員勝ち越しで場所を終えるという展開も十分期待できそうだ。

朝乃山については勝ち越しなら、2024年秋場所以来となる関取復帰の可能性が出てくる。また、正代も昨年九州場所から4場所連続で続いている負け越しにそろそろ終止符を打ちたいところ。この間に番付は西小結から西前頭13枚目まで下がっており、2015年九州場所以来となる十両転落も現実味を帯びつつあるが、実力者としての意地を見せられるか。

大関は「三役で直近3場所33勝以上」という目安をクリアした力士のみが昇進できる地位で、明治時代後期に横綱が正式な地位として成立するまでは番付の最高位だった。御嶽海ら5名はその大関の座を掴み、後に陥落しながらも現在まで相撲をとりつづけているが、実力は錆びついていないと言わんばかりの相撲を7日目以降も見せることはできるだろうか。

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柴田雅人 Masato Shibata

スポーティングニュース日本版スポーツコンテンツライター。福岡県出身。幼少期から相撲、野球、サッカーを中心に幅広くスポーツを観戦。大学卒業後からライター活動を開始し、主にスポーツ記事の企画立案、取材、執筆などに携わる。現在もスポーツ観戦が一番の趣味で、複数競技を同時に視聴することもしばしば。