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ビリー・ジーン・キングとはどんな人物? キャリア・功績

浄見耕志 Koushi Kiyomi

Mike Perez

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2020年、女子テニスの国別対抗戦は「フェドカップ」から「ビリー・ジーン・キング・カップ」へと名称を改めた。これは、世界屈指の知名度と実績を誇り、スポーツ界に大きな影響を与えてきたビリー・ジーン・キングに捧げられた敬意の証といえる。

キングは、コート上で数々の記録を打ち立て女子テニスの道を切り拓いただけでなく、コートを離れてからも不平等や差別と闘い続けてきた先駆者だ。

ここでは、そんなレジェンドのキャリアと功績を振り返る。

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ビリー・ジーン・キングのキャリアと功績

1943年、カリフォルニア州ロングビーチに生まれたビリー・ジーン・モフィット(旧姓)は、スポーツ一家で育った。1959年、わずか15歳で全米選手権に出場し、早くもその名をテニス界に刻むこととなる。

2年後の1961年、17歳にして大きな栄冠を手にする。法律を学んでいたラリー・キングと結婚する前で旧姓のままだったモフィットは、カレン・ハンツェとペアを組み、ウィンブルドン女子ダブルスを制覇。翌年も連覇を果たした。

この成功を皮切りに、数十年にわたるキャリアを築き、キングは圧倒的な成績と信念をもって、スポーツ界で最も影響力のある存在のひとりへと成長していく。

現役を引退するまでに通算39のグランドスラムタイトルを獲得。シングルスと混合ダブルスではキャリア・グランドスラムを達成し、女子ダブルスでも全冠制覇に迫ったが、全豪オープンだけは決勝で2度敗れ、あと一歩届かなかった。

シングルスでは通算129勝(アマチュア時代62勝、WTAツアー67勝)を挙げ、長く世界ランキング上位に君臨した。

また、1963年の第1回フェデレーションカップ(現ビリー・ジーン・キング・カップ)ではアメリカ代表の一員として出場。個人戦にとどまらず団体戦でも力を発揮し、選手・キャプテンとして通算10度の優勝に貢献した。

ウィンブルドンはキングにとって特に輝かしい舞台だった。シングルスで6回、ダブルスで10回、混合ダブルスで4回の優勝を果たし、合計20タイトルを獲得。この数字は同じアメリカ出身のマルチナ・ナブラチロワと並び大会記録となっている。

そして女子テニスの歴史を変える大きな出来事が訪れたのは、1973年9月、テキサス州ヒューストンのアストロドームでのことだ。

「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」と呼ばれる男女対抗試合が行われ、世界で9,000万人以上が視聴したとされる史上最も注目を集めた一戦となった。この試合で当時29歳のキングは、同年にマーガレット・コートを破っていた55歳の殿堂入り選手ボビー・リッグスを6-4、6-4、6-3のストレートで下した。

この勝利は女子テニスの大きな転機となり、同時にキングがスポーツ界を超えて女性の権利と平等を訴える存在として注目を浴びるきっかけとなった。

1970年、キングは女子選手9人のひとりとして既存の統括団体から離脱し、「バージニア・スリムス・ツアー」の設立に参加。さらに3年後には女子テニス協会(WTA)の創設に携わり、初代会長を務めた。

また、1973年の全米オープンで男女の賞金を同額にするという画期的な取り組みを実現させた中心人物でもある。同大会は4大大会の中で初めて男女平等の賞金制度を導入した。

引退後もジェンダー平等の推進や女子テニスの発展を目指し、数々の基金や団体を立ち上げ活動を続けている。

さらに1981年、自らがレズビアンであることを公表し、著名な女性アスリートとして初めてカミングアウトした。これによりスポンサー契約をすべて失うことになったが、その後もLGBTQの権利を支援する活動に力を注いできた。

現在81歳となったキングは、今なお世界的なアイコンであり続けている。その功績は、彼女の名を冠した国別対抗戦に引き継がれている。この大会は女子スポーツの団体戦として世界最大規模の賞金総額を誇り、男子のデビスカップと同額が用意されている。

原文:Who is Billie Jean King? Career and achievements of tennis icon who has lent her name to Billie Jean King Cup
翻訳・編集:浄見耕志(スポーティングニュース日本版)

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浄見耕志 Koushi Kiyomi

スポーティングニュース日本版アシスタントエディター。東京生まれ・東京育ち。スポーツとの出会いは、幼少期に夢中で観戦した大相撲。以来、欧州サッカーやF1を中心に幅広く観戦し、競技そのものだけでなく、その背景や文化にも強い関心を持つ。映画や音楽をはじめカルチャー全般を日常的に吸収し、雑誌文化にも親しんでいる。

Mike Perez

Mike is a freelance content producer and editor for The Sporting News. Mike previously spent 25 years working The Press Association, the UK's national news agency, covering a variety of sports and covering several major events including the 2012 London Olympics.